これはエドワードが14歳の時のお話。
まだまだロイがエドワードへの気持ちが整理付いていない時のロイとヒューズの出来事。
***お父さんのお説教***
ばぁん!!
「よ―ロイ!!遊びに来てやっ・・た・・・ぜ・・・」
東方指令部のロイ・マスタングの執務室の扉から、ロイの親友もとい悪友のヒューズ中佐が、借金取りのヤクザのごとく勢いよく入ってきた。
が、中の光景を見て言葉を失ってしまった。
ヒューズが見て固まってしまった光景とは・・・。
自分の親友でもありエリートコース驀進中のロイが、ソファに覆い被さっている。
そんなことは珍しくもなんともないのだが、(珍しいって)
ロイの下にいた人物に問題があったのだ。
金髪の、少年だ。
少女にも見えなくもないが、服装が男の子っぽかったから、男と見てしまった。
だが、ここからでは後頭部しか見えないためどっちかわからないが・・・。
ロイの奴だから、女でも口説いていると思っていたが(女たらしだから、職務中でもナンパをしているのを時々見かける)よりにもよって男ときた。
それも、未成年、だ。
一気に頭痛が襲ってきた。
男でも女でも自分達の年を考えると犯罪級の年齢だ。
ソファからはみ出た左手は、細く小さな子供の手だった。
ここからソファはよく見える。
入れば真正面にソファが二対置かれている。真中には机、その奥はロイが仕事をする大きな机が置かれている。(机の上には大量の書類が置かれている・・・)
扉から向かって右のソファに二人はいた。
扉から入った瞬間から、ロイが勢いよく顔を上げてしまったせいで、ばっちり視線があってしまった・・・。
もし視線が合わなかったら、何事もなかったかのように静かに扉を閉めてこの場から遠ざかっただろう・・・。
お互い気まずいまま視線を合わせていると、ヒューズの方から視線を外した。
何が悲しくて、愛しの妻でも娘でもない男の顔なんぞ眺めてなくてはいけないのだ!そう思った。
普通はロイの方から視線を外すが、ロイは呆けていてヒューズの顔を見つめるばかり・・・。
外した視線の先はロイが覆い被さっている少年に注がれた。
その少年はどうしたことか、ピクリとも動かない。
怖くて身動きが出来ないのか、それともロイが動けなくさせているのか。
そんな事を感じながら二人に近づいたが、だんだんとなにか違和感を感じた。
見たことある金髪の金糸。
黒い上下の服。
・・・・・・・。
「エドか・・・?」
びくり。
何か恐ろしいことでも聞いたかのように、ロイは身体を振るわせた。
いつもは無意味にも自信満万なのに、今はそれが見る影もなくヘタレている。
じと目でロイを睨みつけるヒューズにロイは、冷や汗を流し悲しそうな複雑そうな瞳でヒューズを見つめる。
ロイが覆い被さっていた人物は、ロイが後見人を務める鋼の錬金術師エドワード・エルリックだった。
確かにエドが東方指令部へ久々にやってきていることは、ここへ中央から着いてからすぐに知ったことだ。
ここならエドもいるだろうと踏んで、エドをからかいに旅先の話しを聞こうなど、遊びにきたのだ。
それが、こんな場面に直面してしまうなんて・・・。
ロイがこの子供のことを保護者以上として見つめていることを知っていた。
エドを見詰めている目線が他の者を見ている視線とは違う。
いつも一緒にいる綺麗な女性を見つめる目線でもない。
本当に大切なもの、愛しいものを見つめる目線だ。
ヒューズが妻や娘を見つめる目線と同じ・・・。
そんな目線で今までエドワードを見つめ続けていた。
あのロイが何の利益も省みずにエドワードに、かいがいしく手を貸したり、優しく接しているのも何度も目撃してきた。
正直昔のロイを知っている者にすれば到底信じられるはずも無く、男のしかも子供に世話を沸かすなんて・・・。
とても信じられず何か裏があってやっているのかと疑うほどだが、顔がとても嘘をついているようには見えなかったのも事実。
本人が幸せそうだったから放っておいたが、まさか本気だったとは・・・。
女好きのロイを知っているやつならば、信じられないと自分の頬をつねったことだろう。
別に偏見は無いのだが男を好きになるなんて・・・。
ロイに襲われているのがエドワードだと分かると、ヒューズの動きは迅速に行われた。
ヒューズが動いたことにより、ロイの硬直の解けた。
「あ、あの、その、ヒューズ・・・、」
ロイがなにかパタパタ手を振って弁解しようとしているが、そんなものは関係ない。
しかも驚いて忘れているのかどうかは知らないが、エドワードの上から退こうとしないでいる。
だんだん怒りが沸いてきた・・・。
エドワードはヒューズにとっては可愛い息子だ。
親がいない分、軍部内でも妻と娘がいる自分がこの子供を可愛がってやらなくてはと、そう心がけて接してきた。
エドワードが嫌がっても、兄弟の世話を焼いたり、話しかけたり、甘やかせたりしたい。
まだ、親の保護のもとにいるはずの子供なのに、自分で選んだ道とはいえ過酷な道を選んでしまった哀れな子供達。
少しでも手助けをしてやりたい。
十分過ぎるくらいの愛を与えてやりたい。
そう思うのは、自分のエゴだろうか・・・?
ツカツカと二人が絡み合ってる(!?)ソファに早足で近寄り、ロイの頭を叩いた。
どかっ。
大人しく、鈍い音を立てて撃沈したロイ。
エドワードが寝そべっている対の長ソファへ仰向けで倒れていった。
「お前は何をやってるんだ!!」
俯いているロイに向かって怒鳴る。
ロイは頭を押さえながらまだ俯いている。
そんな様子のロイを溜め息を吐き眼鏡のずれを直しながら、エドワードの方へ目を向けた。
こんな子供を押さえつけて、何をしようとしていたのだ!
怖がっていないだろうか?ましてや、怒ってロイに殴りかかりにいきはしないだろうか?不安がヒューズを襲う。
だが、静かだと思ったらエドワードは眠っていた。
この騒ぎだというのにすやすや眠っていた。
エドワードを見て息を呑んだ。
そこには見間違えるはずも無い女の子がいたのだ。
エドワードなのだが、どう見ても少女にしか見えないでいる。
いつもは勝ち気で元気満々の光を瞳に宿している、小さいけれども頼もしいイメージのある金の子供。
動かなくなる時などなくせわしなく動き、罵詈憎音を発している口。(おもにロイに向かって)
ちょろちょろと動き回って、常に視界に入らない機敏な動き。(エドに言ったら殴られるだろうが・・・)
だが、今のエドワードからはそんなものは感じられないでいる。
寝ていることで分かる、小柄な顔。
整いすぎている顔のパーツ。
長い睫毛に影を落としている。
大人しくしているとこんなにも幼い、小さく頼りないイメージが強く漂ってくる。
大人用のソファに寝そべっていても、すっぽりはまり余ってしまうほどだ。
年齢よりも幼いとは思っていたが、こんなにも子供だったとは、改めて感じたヒューズだった。
それに・・・、男ではなくて、女の子なのか・・・?
これはどう見てもそうでしかない雰囲気を醸し出している。
これならば、ロイが血迷ってエドを襲ったとしても違いはねぇな・・・。
納得をしてしまったお父さん。
とにかくロイにイロイロ聞きたいことがあるから、今だヘタレているロイに近づいた。
「おい。ロイ。ちょっと聞きたいことが多数あるんだが・・?」
のろのろと、ヘタレているロイは顔を上げた。
上げた顔はなんとも情けない顔をしていて、ヒューズに助けを求めているようにも感じた。
何故そんな顔をしているのか全然分からないヒューズは、溜め息を吐きエドワードが仰向けで寝ている反対側のソファへロイを誘導し、自分もロイの隣へ座った。
「お前は何をしていたんだ?」
とりあえず、エドの方へ顔を向けさせないようにこっちを向かせた。
ロイはエドの上に覆い被さって何をしようとしていたのかを、明確にしようとそれをまず尋ねた。
あれはもしかしなくとも、いわゆるアレかもしれない・・・。
ロイは突然のヒューズの出現に戸惑っていながらも、大人しくありのままを話し始めた。
「エドがあんまりにも可愛い寝顔をしていたので、キスをしようとした」
・・・・。
ありのままを話過ぎだ。
もう少し色を付け足すとかすればいいものを、ヒューズの瞳を真剣に見詰めながら素直にぶっちゃけてしまった。
「いや、エドが可愛いのは分かるがな・・・?」
「そうか!!わかるか!!そうだよな!エドは世界で一番可愛いのだからな!」
ヒューズのエドの誉め言葉を聞くと、とたんに元気になりはっはっはと笑い出すロイ。
さっきまでのヘタレっぷりはどうしたかと言うほどに、もう自信を取り戻したようだ・・・。
この自信たっぷりの顔を見ていると怒りが沸いてきた。
”世界一可愛い”という言葉を聞くと、自分の愛娘エリシアの愛らしい顔が浮かぶ。
惚気ているロイに反論しようとするが、ここは思いとどまって話の先を促すことにした。
こめかみをピクピクしながらヒューズは、額に手を当て横目でロイを見た。
「つまりはエドのことが好きなんだな?」
ニヤケていたロイの表情が真剣そのものになった。
「そうだ」
滅多に見ない真剣な表情を見たヒューズは少し気圧されながらも、目を細めロイを見る。
「本気なのか?」
「あたりまえだ」
鼻を鳴らされ即答された。
どうやら本気で本当らしい。
このロイが、この女たらしが、信じられない。
本人の口から直接聞いても、まだ疑問に思ってしまう。
まぁ、日ごろの行いのせいでもあるのだろうが・・・。
そこまで断言できるのは興味がある。
「想いは伝えてないのか?」
まぁ、ロイのことだからもう伝えているだろうと思っていた。
エドは人に触られるのは好きではなさそうだから、触らせてもらっていないだろうな、だからこのような暴挙にでたのだろうとヒューズが独自に考えていたことだ。
この言葉を言うとロイはとたんに元気をなくした。
見る見るうちにソファに沈んだ。
「おいおい;;まさか、まだ伝えてないのか?」
ヒューズは驚いた。
ロイの手の早さは矢のごとく早いことで有名だからだ。
それに、自分の想いも想いも伝えていないのに寝ている子供にキスをしようとするなんて、立派な大人のやることなのか!?
収まっていた怒りがまた心の底からこの男の特許の焔のように燃え広がってきた。
「お前は!気持ちも伝えないで、エドにこんなことをして許されるとでも思っているのか!?」
ヒューズはエドが寝ていることを忘れ、大声を出し膝に置かれている自分の手で皺になることも忘れ自分の軍服を握り締めた。
エドがこんなことを知ったら、怒るならまだしも、怖がって逃げ出したら連絡がさらに取りにくくなるだろう。
たぶんロイから逃げ回り、帰ってこなくなる。
徹底的に避けられるのがオチだろう。
そんなことも考えて行動をしているのかこの親友は?
自分の子供に対する気持ちでエドに今まで接してきたから、この怒りも半端ない。
「彼女には伝えられない・・・」
ロイからの返答の声は”彼女”と呟かれ限りなく小さく弱弱しいもので、握り締めた両手に視線を落としながら、話し始めた。
「彼女にはやらなくてはならないことがある・・・。この想いを伝えては彼女には迷惑がかかるだろう。
迷惑を掛けたくないんだ。
この気持ちを重りにしたくないのだ。
足枷など必要ないんだ。
自分の信じる道を付き進んで、答えを出してほしいのだよ」
ぽつりぽつりと悲しそうに悔しそうに言う親友に、その声色からロイの決意がにじみ出てくる感じがした。
伝えたいけど、伝えられない。
想っていたいけど、耐えられない。
この想いが、彼女に届かないのがつらい・・・。
「馬鹿か?お前は?」
ヒューズの口からでた言葉は、ロイの思考を遮断させてしまった。
「ば、ばか・・・?」
ヒューズの顔を凝視する放心状態のロイ。
この悪友に何か言われるだろうと心していたけど、こんな一言が出てくるなんて思いもしなかった。
怒鳴られるか、呆れられるかのどっちかで、こんなに真剣な声だとは信じられなかった。
まれに見るアホずら下げて口をアワアワ震わせている。
そんなロイを半目で見つめながら、
「気持ちをぶつけろよ。気持ちもぶつけないでうじうじ悩んでんじゃねぇよ」
みっともねぇなぁ・・・とヒューズの言葉はロイには理解ができなかった。
「何故だ!?さっきも言ったが、彼女に迷惑を掛けたくないのだ!!」
さっきのアホずらではなく、この親友は俺の言ったことを聞いていなかったのか!?と、少々怒りを込めて叫んだ。
「お前はさっき寝ている隙だらけのエドを襲おうとしてたじゃないか!」
負けじと叫び返すヒューズ。
「っ;」
真実を言われてしまい口をつむんでしまったロイは目線をヒューズからそらした。
そこをヒューズは見逃さず、目線をそらしたロイの後悔している瞳を見ながら、
「このままいくと、お前は気持ちが伝えられないことに耐えられなくて、エドを本当に襲ってしまうかもしれない」
「・・・・・・」
この親友は自分の今後の行動がわかっているのか?
エドワードに圧し掛かりながらロイも同じことを考えていたのだ。
このままいくと、この子供を自分の思うがままに押さえつけ自分自信をねじ込んでしまうかもしれないと・・・。
エドを傷つけてしまう結果になって自分が後悔しても、その関係を続けさせてしまうだろう。
彼女を手放さないために・・・。
こんなことはしたくないのに、想像ばかりが頭を過ぎる。
彼女の肉体が欲しいわけじゃない。
勿論欲しいが、それだけじゃない。
すべてが欲しいのだ。
肉体も、心も、魂も。
全て。
そんなことはいけないとは分かっていても、気持ちという物は簡単には伝えられないのだ。
「今も我慢ができなくてそうゆう行動を取ったんだろ?そのときのお前の顔なんて、我慢できない風に目が血走ってたぜ?」
この先のことなんて明白じゃないか。
しっかり見ぬいているヒューズ。
「その時のエドの苦しむ姿を見たいのか?伝えないでこののまま襲ってしまうよりも、伝えた方が断然良いだろうよ」
「・・・だが、」
ヒューズの正論に言いよどむロイ。
そんなことは分かってはいる。
でも・・・。
自分の考え想いはそう簡単には覆せない。自分が考え続けて搾り出した答えを、否定されているみたいに感じているロイ。
国家錬金術師、科学者のロイだけに自分の出した答えを簡単には否定できないのだ。
「まぁ、俺に言わせれば自分の気持ちを伝えられないなんて、男じゃないね」
反射的に身体と視線をヒューズへ向けるロイ。
その瞳は焦燥感でいっぱいだ。
そんなロイをアホだと思いながらも、哀れな奴だとも思った。
なんて不器用な奴だ、と。
「お前は、一回りも違うエドに本気になった上に振られるのが怖いんだろう?」
「なっ」
ずばっ、と自分が気にしていることを言い当てられたので、もうロイは泣きそうな気分だった。
どうしてここまで自分のことがわかるのだろうか?伊達に悪友を何年もやっていないからだろうか・・・?
ヒューズにしてみれば、ロイの行動の取り方なんてだいたい手に取るように分かってしまう。(分からない時もあるが)
何故なら、ロイは上へ目指すための行動と、女性に対する行動の二パターンしかないのだ。
この二つのパターンを使い分け、今までやって来たのだから本気の恋に対しての気持ちは知らないはずだと思っていた。
本気で恋をしてしまうと、周りが見えなくなりどうしていいのかわからなくなるのが普通だ。
だが、ロイは上手く対処していると自分では思っているが、実際には上記の通りになってしまっているのだ。
「それを臆病と言うんだよ」
溜め息を吐きながら、諭すようにそう告げるヒューズ。
だが、瞳には力強い光が灯っている。
お前にならできるだろう。そういっているようだ。
「・・・・俺に言えるのはここまでだ。後はお前がありすぎる知恵使って考えてみたらどうだ?」
「・・・・・」
ヒューズはソファに身体を預け大きく伸びをした。
その視線の先には眉に皺を寄せて身体をもぞもぞ動かし唸っているエドが映った。
まだ疑問は解決してはいなかった。
一番聞きたかったことが残っている。
「それはそうと、エドはやっぱり女の子だったか」
「!!?な、何故それを!?」
ヒューズの言葉を考え込んでいたロイは驚き、さらりと大事を告げたヒューズを顧みた。
えっえ!?混乱しているロイ。
さっきのことも引きずっているというのに、また大問題が飛び出したのだ。
ヒューズは今日何度ついたか分からない溜め息を吐いた。
こいつは頭だけは飛びぬけて良いが、一つ気を抜くと駄目男になるらしい。
「お前がさっきから”彼女”っていってるだろうが」
しまった!!ロイは口を広げてその口に手を当てた。
いまさら口を噤んでも遅いっての・・・半分呆れながらに思う。
「あ、あぁ、、」
ロイがヒューズになにか言おうとするが、上手く言葉にならない。
手をパタパタさせて顔面蒼白だ。
「さっきエドの寝顔を見たとき疑問に思ってな」
ロイはヒューズの肩をがっしり掴み息が吹きかかるぐらい顔を近づけた。
ぎゃー!!顔が近い!!グレイシアとエリシア以外の顔なんざ見たくねぇよ!!放せ〜!!と今度は逆にばたばたしているヒューズを押さえ込み、
「このことはエドには内緒だからな!!」
焦った様子でヒューズにお願いをするロイ。
何をそんなにこの男が焦っているのかわからなく首を傾げているヒューズに、
「エドは隠しているんだ。自分が言うまで待ってやろうと思っていたのだ!」
だから、お前が知ったことは内緒にしておけ!
目を細めながら必死に訴えるロイ。
自分でそう言ってたくせに、結局は待てずに自分から言ってしまったのはまた別の話。
自分の気持ちは押さえつけるのだがエドワードの気持ちを最優先させる、それがロイの信条のようだ。
エドワードを悲しませるようなまねはするな!!とロイに必要に忠告をしてきた。
そんなものは、皆承知している!お前以外は皆エドワードを悲しませていない!といおうと思ったが、あまりにもロイが哀れだったので伏せることにした。
話題を変えて、
「エドはお前にばれていないと思っているのか?」
「絶対に知られていないと思っているだろうな!!」
ふんぞり返りながら即答するロイ。
「・・・なんだその自信は?」
気味の悪いほどに腕組みをし自信満々なロイの態度に側から少し離れるヒューズ。
それに気付かず、嬉しそうにエドワードの話しをするロイ。
「女だって私が知っていることを言ってしまえばエドは私に近づかなくなるだろう。何故なら、私が女性を見ると誰かまわず声を掛けホテルへ連れて行く。とエドは思っているだろからな!!」
この前そんなことを話した!!
胸を張って言うが、
「いや、むしろだめだろ・・・」
最低だなこの男、とヒューズの目が点になる。
この男はここまで馬鹿だったのか・・・?疑惑が膨れ上がる。
「・・・・・。だから、私が男だと信じている間はエドは近くにいてくれるのだ・・・」
ヒューズの言葉にソファに撃沈しながら涙ながらに話すロイ。
自分でもわかっているんだが、エドワードと話すのが楽しくてつい余計なことまで話してしまうのだ。
そんなロイを哀れに思いながらも、やはり馬鹿な奴だという視線を込めて見つめてやった。
「うるさーーーーーーーーーい!!」
いきなり大声を出されてびくつく男二人。
声の発生元を見ると、エドワードが眉に皺を寄せ、目はギラギラさせ、歯を食いしばってギリギリさせている。
さっきの可愛らしい顔はどこにも面影はなく、そこには阿修羅がいた・・・。
「人が寝てんのに、耳元でグダグダ喋ってんじゃねぇよ!!」
こちらと寝不足なんだよ!
不機嫌を露にし、ロイとヒューズにすごい形相で当り散らしている。
「す、すまないね・・・」
ヘタレロイはさっきの余韻もあり、見るからにおどおどしている。
そのおどおどに寝起きのエドワードはさらに気に触ったのか、怒りが増している。
そこにヒューズが割って入った。
「おおっ!!悪いなエド!!小さすぎて見えなかったぞ!?」
「なんだと〜!!誰がソファにも埋もれて見えないほどのマイクロドちびだーーー!!」
両手をばたばたさせ威嚇の行動を取るエドワード。
それをまあまあと笑顔で押さえ、エドワードに近づくヒューズ。
どうやらさっきの話しの内容は聞かれていないらしい・・・。
ほっと胸をなでおろすロイ。
さっきの自分の行動はどうかしてた、考え直さなければならない・・・。
とりあえず、ヒューズの言っていたことを参考に思い直そう。
エドワードとヒューズのやり取りを眺めながら、これからのことを考えるロイ。
だが、二人が中良くやり取りしているのが気に食わなくなり、邪魔しに入ろうと席を立ったのだった。
**END**
ヒューズさんです。お父さん役バッチしあってますね☆
てかロイさん変態すぎるかも・・・。ここでヒューズが入ってこなかったらきっと最後までいっていただろうな〜☆それもそれで面白い!!何時かやってみたいな☆(最低)
あんまりロイさんの気持ちは書いてみませんでした。この後のお話で書かれると思います。
*2005.5.30