***落ち続ける時の砂***




さらさらさらさらさら・・・。



砂が落ちる。

時という名の砂が落ちていく。

誰にも止めることも、戻すこともできずに、ただ、ただ、重力に沿って落ちていく。


「よく来たね」


ロイ・マスタング大佐が12歳の少年エドワード・エルリックに向かって、漆黒の髪に同色の瞳を細めうっすら微笑んだ。


「・・・ああ。来てやったよ。もとの身体に戻るためにね」


太陽の光を受けて、光を全て撥ね返してしまう金の髪の毛。

光を受けとめ瞳の奥に燈す、髪の色より深い瞳。


真っ赤なコートの背中にはフラメルの十字架にかけられた蛇の紋章。

賢者の石そのものを指す、錬金術師の正しき導き手。


金の目が自分の上司となるであろうロイに鋭く向ける。

だが、その鋭い瞳をさらりと涼しい顔で交すロイ。

口元には笑みが刻まれる。

その飄々とした顔が少年の怒りを着々と買っていると知っての行いか。


「そんなセリフは国家資格を受かってから口にするものだよ」


自信満万にいう少年に、からかう口調でいう。

その言葉を聞いたエドワードはピクっと形の良い眉が片方釣り上がった。


「受かるために来たんだよ」


ロイのいる階段の最上階へ、土の地面にいるエドワードは目線だけを上に向けた。

太陽の光がエドワードに反射し、ロイは眩しそうに目を細めた。


「落ちることは許されない」


明確な意思を持ち、鋼鉄な心を持つ少年は一歩一歩上に上ってくる。

まるでロイの領域内の進入してくるかのように。


もう止められない。

砂が落ちる。

誰にも止められない。

時が流れる。

この先に何が待っていようとも。

後戻りはできない。

するつもりもない。



さらさらさらさらさら・・・。



砂が落ちる。

時はもう流れつづけていく・・・。

そして・・・、

そして、その先にはあるのだろうか?

誰もが行きたがる、遥かな世界。

どうしたら行けるのだろう。

誰か教えてほしい・・・。



**END**




こ・れ・は?短すぎる;;
お二人の出会いを・・・;;てか、原作通りじゃん!!ただ、書きたかっただけ;;

*2005.5.12